イオン照射によるICの高効率オンチップアンテナの開発

お知らせ

2024年2月19日

6世代移動通信システム(6G)では、90 GHz300 GHzのサブテラヘルツ帯の周波数を利用する超高速無線通信の実現に向けて、世界中で研究開発が行われています。周波数が高くなると波長が短くなるため、アンテナを小さくすることができCMOSプロセスによりシリコン基板上にアンテナを形成できます。これにより回路とアンテナをシリコン基板上にワンチップ化することできるため、製造コストが安く、アンテナと回路間の接続損失を低減した無線通信ICの製造が可能となります。しかしながら、シリコン基板が低抵抗であるため基板損失が発生し、利得が0dBi以下の低利得になることがオンチップアンテナの課題となっていました。

当社は東京工業大学工学院電気電子系の岡田健一教授の研究室と、イオン照射技術によりシリコン基板の抵抗率を高くすることで基板損失を低減する技術を開発し、300GHz帯で使用するオンチップビバルディアンテナの利得を約5dBiまで向上させることに成功しました。

図:オンチップビバルディアンテナTEGと断面構造(模式図)

 

図:アンテナ利得と周波数の関係

 

岡田健一教授の研究室は本技術を適用したオンチップアンテナを含め、すべてCMOS集積回路で実現した300GHz帯フェーズドアレイ送信機を開発しました。研究成果については、東京工業大学がプレスリリースしている以下のサイトをご参照ください。
オールCMOS300GHz帯フェーズドアレイ送信機を開発-100Gbps超のデータ速度を達成、6G無線機実用化へ大きく前進-, 東京工業大学

当社は、独自のイオン照射技術に磨きをかけ、さらなる社会貢献を図るため、今後も種々のアプリケーション開発を進めてまいります。