電子線利用サービス 電子線滅菌・殺菌

導入時の試験内容・滅菌バリデーション

滅菌バリデーションとは

製造所の滅菌に係るハード面並びにソフト面における状態・管理方法が目的とする製品の無菌性保証に対して妥当であるかを検証し、文書化により、当該製品の無菌性を恒常的に保証することです。 ※医療機器、医薬品を滅菌するためには、滅菌バリデーションの実施が義務付けられています。

医療機器などを例とした滅菌バリデーション

※個々の製品にしては黄色の項目が対象となります

電子線滅菌の単位と用語

用語 内容
照射利用の線量 吸収線量を意味して、単位はGy(グレイ)。Gy=J/kg。一般的にkGy(キログレイ)を用います。
滅菌線量 無菌性のために規定された要求を達成するための最小線量。
最大許容線量 規定された製品の安全性、品質、機能を損なわない最大の線量として行程中で与えられる線量
バイオバーデン 製品及び/または無菌バリアーシステムの上又は内部に存在する生育可能な微生物群。
分割試料(SIP) 試験を行うヘルスケア製品のうちの定義した一部分。
バリデーション プロセスが恒常的に予め規定された仕様に適合する製品を得ることができることを立証するために要求される結果を得て、記録し、解釈するための文書化した手順。
無菌性保証水準(SAL) 滅菌後の製品に生育可能な微生物が1個存在する確率。
注)SALは量的な値で通常10-6又は10-3をとる。

上記表は横にスクロールできます。

具体的な実施手順例

  • 最大許容線量の設定(段階線量照射)

    製品の品質、機能、安全性を損なわない最大の線量を設定します。
    製品又は材料に対し、段階的に照射線量水準で電子線を照射します。
    ※このときの被照射対象物は照射用カートに並べ均一に照射します。 例として20kGy、40kGy、60kGy(キログレイ)など。 委託様側にて製品の影響評価を実施され最大許容線量を設定します。
    ※必要規格試験(生物学的、化学的など)、経時試験(製品有効期限まで)など。

  • 滅菌線量の確立のための試験(例:複数製造バッチの場合)

    求めたい無菌性を得るために必要な線量(滅菌線量と呼ぶ)を設定します。

    ①バイオバーデンの決定
    製品の製造3ロットより、各10個の製品を準備し、バイオバーデンを測定します。各1ロットの平均と全3つのロットの平均を考慮し、平均バイオバーデンを決定します。
    ②検定線量試験(検定線量照射、無菌試験)
    平均バイオバーデンより求められた検定線量を製品に照射し、無菌試験を実施します。規定陽性数以内であれば試験合格となり、滅菌線量が決定します。
    【無菌試験検体数】方法1のとき:100検体、VDmaxのとき:10検体。
  • 線量分布測定試験

    線量計を使用し、最終梱包形態における製品内部の線量の分布を確認します。
    製品内部の線量が滅菌線量以上、最大許容線量以下となる最終照射条件を決定します。

【定期的に実施するバリデーション「工程有効性維持の実証」の実施項目】

  • バイオバーデン測定 実施頻度:最大3か月間毎または1か月間毎(設定時のバイオバーデン数によります)
  • 滅菌線量監査(検定線量照射、無菌試験) 実施頻度:3か月間毎(なお、実施間隔の延長が可能な諸条件の規定もあります(JIS収載))

滅菌線量の確立方法(代表的なもの)

JIST0806-2:2014(ISO11137-2:2013およびISO/TS13004:2013)

方法1
バイオバーデンの情報を用いる線量設定法
方法2
外挿係数を決定するための累加線量照射から得られる陽性数の情報を用いる線量設定法
方法VDmax15、25およびVDmaxSD
滅菌線量を立証する設定方法